『ルパン三世カリオストロの城』の回。
今回からちょっとまったくこれまで脚本を書いたことがない、けれども書いてみたいと思っている超初心者向けの話を冒頭に付け加えてからのスタートにしようと思っています。
そもそも、パルプンテはシナリオ解析講座なので、宮崎アニメだからどうの、とかそういう話にはなりません。映画の歴史やバックボーンなどを語ることで映画がわかった気になったり、どれだけ豆知識を持っているかでマウントすることのための講座ではありません。
あくまで、シナリオを書くための講義です。
冒頭に話すのは「これは『ルパン三世』の劇場版二作目です、あなたがもしも、『ルパン三世』の劇場版二作目の脚本を頼まれたとしたら、まずなにから発想しますか? そして、どういう間違いをしてしまいがちでしょうか?」というところから入ります。
『ルパン三世』はすでに知られているキャラクターであり、登場人物の一からの紹介は必要ありません。では、どこから始めるべきで、どこまでの説明をするべきでしょうか?
これは『カリオストロ』に直結した話というよりも、昨今のリメイク、リブート、続編の企画作りを求められる時に、同じように考えなければならないことなのです。
パルプンテではこういった話から始まり、そして、この物語において初めて登場するキャラクター達、舞台となるカリオストロの城はどのように説明、描写されているのか? となります。
そして、初心者向けのお話。
この三年、明星大学の一般教養の授業で脚本とはなにか? どう書くのか? を講義してきたのだけど、教えられるのはなにを書くか、ではなく、どう書くかだけ。
どう書くか、というのは、あなたの思っている画と、この脚本を読んだ時に誰もが思う画と相違ないですか? ということを問い続けることでしかない。
シナリオの専門学校などで授業をしていて「シナリオとはなんだと思いますか?」と始めに聞くと「ドラマ」とか「人間を描く」とかという答えが返ってくる。
それは内容であって、ライティングの技術の話ではないのです。
私の講義は以下のようなものです。
材料の木材がある。
それにどう鋸を入れ、ノミで削り、サンドペーパーを掛けていくのか?
サンドペーパーは何番からかけていくのがいいのか?
という話ならできます。
その材木でどんなものを作るか、は本人次第です。
いきなり、鋸を入れて、ざくざく作れるものでもなく、あらかじめイメージスケッチのようなものが必要でしょう。
必要としない人もいますが、いらなければイメージスケッチはなくてもいいです。
要は、掘り上がればいいのですから。
頭や、顔から掘る必要もありません。
その材木の中に埋まっているものを掘り出す、と考えてください。
用意した材木以上の大きさの物は作れませんよね。
これは「そんなの当たり前だ」と思われるかもしれませんが、ここを間違って掘り始める人は実は大勢います。
そのへんの話なんかもしたりします。だってこれはとても重要なことですから。
100坪しかない土地に1000坪の家の設計図を描いても建つわけはないですし。
これまで脚本を書いてきた先達は、どうして原稿用紙を使って書いてきたのか?
ということなんかも含めての授業を前半にやろうかと思っています。